testament 名詞 <testis 表1>1
=========* 註 *=========
英語 testament の 「神と人との間の契約」 の意味は、後期ラテン語 testamentum がもとになっている。本来は 「遺言」 の意味で
あった testamentum に 「契約」 の意味が生まれたのは、ギリシャ語の聖書をラテン語に翻訳するときに起こった
ことで、 「誤訳」 による新語義誕生の一例である。
聖書では、最後の晩餐においてイエスが、弟子たちに与えたぶどう酒のことを 「人々の罪が許されるために私が流した diathēkē の血である」 と
述べたと書かれている。ギリシャ語 diathēkē には 「遺言」 「処分」 「契約」 などの意味があるが、死を予期したイエスの言葉であった
ため 「遺言」 の意味が連想され、訳語として testamentum (遺言) が使われたという。 (The Barnhart Concise Dictionary of Etymology 参照)
testamentum には、 「聖典 (神の遺言・契約が記された書物)」 の意味も生まれ、英語でも testament が 「聖書」 に
なった。 New Testament (新約聖書) の原義は、 「イエス・キリストによってもたらされた神と人との間の新しい契約」 である。
なお、新約聖書の英語訳では、最後の晩餐でのイエスの言葉を伝えるために、今日では testament ではなく covenant が使われて
いて、 例えば 「マタイによる福音書」 の (26) は以下のようになっている。
The English Authorized Version 『欽定訳聖書』 (1611年にイギリスで発行) では、