基本語の範囲について

このサイトで提案している辞典の原型は、単語の暗記が苦手という受験生を、第一志望の 大学に合格させるためのものでした。ですから、無駄な単語を覚えさせて受験勉強に支障 をきたしてはならじと、今から考えると涙ぐましいほど神経を使って学ぶべき語を精選しました。その際参照したのは、 英和辞典の見出し語に付いているランク付けや 受験用単語帳などですが、 これらの参考文献の基準 には違いがあることも結構あったため、収録語、収録語義を決める作業には随分悩まされました。

その後、辞典の対象を受験生から一般学習者に広げたため、英和辞典で重要度のランクを示す何らかの印が付いている語を 全て拾うことを原則にしてみました。しかし、各辞典の間に差異があることに変わりはなく、収録すべきか否かを決めかねる語が随分ありました。 この問題の解決策を求めて、英米の学習者用辞典を調べている時に、子供用辞典の中に、多くの英和辞典では重要度のランク付け記号 のない「無印」の語、つまり日本では、大学生でも習うことを特に奨励されない語が載っていること を知りました。例えば、子供用百科事典として定評のある Oxford Children’s Encyclopedia には

などが見出し語として入っていますが、これらの語は多くの英和辞典では「無印」です。普通の英文を読めるようになることを目標にするなら、 こういう語を無視することは出来ないと思いました。

さらに、英語の歴史を学び、英単語を覚えるには語源を理解することが不可欠だと強く考えるようになると、基本語を絞りこむことに疑問が わいてきました。語源の知識を活用して語彙を増やすには、同じ語源の他の語と見比べて記憶の相互補強を図ることが重要ですが、その場合、 参照できる語の数が少なすぎると効果が上がりません。結局、学習者の語彙 力や関心が多様であることも考え合わせ、この辞典に取り入れる語の範囲は、ある程度の余裕を持って設定しようということになりました。