ここでご紹介するサイトは、訳語や用例について考えるときに繰り返し参照させていただいているものです。
三人の先生方がサイトを作ってくださったおかげで、何の縁故も無かった私たちが貴重な教えを頂けるのは、
本当に有り難いことだと感謝しております。

Asako Mizuno Official Website ……翻訳コンサルタントの水野麻子氏が作者です。産業翻訳者を目指す人には広
       く知られているサイトのようですが、一般の英語学習者の心得として通じるものも書かれています。その一
       つが「翻訳業界の舞台裏を知りたい人に」です。ここではまず、辞書を、正しい訳語を見つけ出すための補
       助手段としてとらえるべきことが、具体的な事例をあげて解説されています。そのうえで、辞書の選び方や
       使いこなす方法が大変親切に詳しく説明されています。また、正しい訳語を得るために、翻訳家がどのよう
       な努力をするのかについても、良く理解できるようになっています。プロの仕事は「神業」のようなものだか
       ら、自分には関係ない世界だと感じる人がいるかもしれませんが、プロの域に達することはできなくても学
       ぶことは沢山あります。

翻訳訳語辞典 …… 数々の名翻訳で知られる山岡洋一氏が作者で、すぐれた翻訳家たちが実際に使った訳語を集
       めた辞典です。単語の訳語というのは、文の中で、その単語が意味することを的確に表す言葉のことであ
       るから、ある単語にとってのふさわしい訳語が辞書に載っているとは限らない、という氏の主張が実証され
       たものにもなっています。他の場所で氏は、辞書に無い訳語を使うのが「禁忌」だった時代があったとも回
       想されていますが、今でも、この「禁忌」に縛られている学習者は多いのではないでしょうか。この中に収録
       された「普通の辞書には無い訳語」をじっくり味わえば、辞書は、英語を逐語的に日本語に置き換えるため
       に使うものではなく、意味を理解するために使うものであることがわかると思います。自分で感じて考えるこ
       とが基本であることを教えてくれる辞典です。

     『翻訳通信』 山岡洋一氏追悼号
        2011年8月20日、山岡先生が急逝されました。追悼号には、芝山幹郎氏初め多くの方々が哀悼の言葉を
        寄せています。直接お会いする機会のなかった私たちですが、先生からのメールに今でも励まされている
        ことを綴った一文を掲載していただきました。

山岸勝榮英語辞書・教育研究室 …… 『アンカー・コズミカ英和辞典』などの編集主幹、山岸勝榮明海大学教授のサ
       イトです。「辞書は慈書たれ」のモットーさながら、サイト全体が「言葉を慈しむことを学ぶ書物」になっていま
       す。「日英言語文化論考」では、日本人としての感覚や常識を意識的に相対化しなければ、英語を正しく理
       解できないことを、数々の興味深い、ときには衝撃的でさえある例をあげて教えてくれます。「辞書用例学」
       には、辞書に載せるべき用例について、研究者が認識を共有し深め合うことが大切だという重要な提言が
       あります。ここには、改めるべき用例についての厳しい批判も書かれていますが、ご自分の失敗例も率直に
       明かされています。辞書は人々の感情や知性のあり方に深い影響を与えるものであるから、辞書家の責任
       は重いという信念に貫かれた批評は、辞書を利用する側にも多くを教えてくれます。


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